簡単な解剖学講座 【脳脊髄液の2つの働き】
今回は、お手当療法の実践でも関係してくる脳脊髄液のことについてお話ししていきます。
質の高い研修会や学会に年間100時間~200時間参加し、知識や技術を学んでおり、解剖学知識については日々研鑽していますので、記事の信頼性に繋がるかと思います。
脳脊髄液について
スーパーで売られている水を張った容器の中で浮かんでいる豆腐をイメージできますか?
この豆腐のように、私たちの脳というのは液体の中で浮かんでいるのです。
この液体のことを脳脊髄液(のうせきずいえき)と呼んでいます。
(出典:ネッター解剖学図譜 第二版)
脳と脊髄は硬膜・くも膜・軟膜の三層構造の髄膜により覆われていて、くも膜と軟膜の間の くも膜下腔(くもまくかくう)と脳の脳室(のうしつ)の中に脳脊髄液は循環しています。
脳脊髄液の機能① 〜脳・脊髄の保護機能〜
脳脊髄液は130ml程の無色透明な液体です。
コップ1杯にも満たないこの液体は頭蓋骨と背骨の中にあります。
この脳脊髄液は、物理的な衝撃を和らげるクッションの働きがあり、脳と脊髄を衝撃から守っています。
脳や脊髄といのは、豆腐のようにとても柔らかい組織なんです。
もしも、スポーツや交通事故などで頭や背骨を強打してしまっても、大切な脳や脊髄が潰れてしまわないように脳脊髄液のクッションで守っている訳です。
イメージとして、、、
豆腐を保存する時、容器に水を張りますが、こんな感じに近いとも言えます。
・脳 → 豆腐
・脳脊髄液 → 水
・頭蓋骨、背骨→ パック

脳脊髄液の機能② 〜老廃物の排泄の働き〜
脳脊髄液は絶えず循環していて、1日に約500 ml産生されており、1日に約3〜4回入れ替わっていると言われています。
また、先程の豆腐パックモデルを思い出してみてください。
もしも水(脳脊髄液)が濁ってしまいそのままにされていると、そのうち豆腐(脳)は腐ってしまいますよね!?
四万十川のような清流は、水に流れがあるのできれいな水質を保てますが、水の流れが滞ってしまうと川の水は淀んでしまいます。
脳脊髄液も同じで、鮮度を保つために髄液を循環させる必要があります。
その為、脳内の静脈系を介し、脳内の老廃物を心臓に送り返し老廃物の排泄をおこなっています。
もしも、何かしらの原因で脳と脊髄を覆っている硬膜に歪みや緊張が生じてしまうと、脳脊髄液の循環も悪くなってしまいます。
そうすると、脳脊髄液の排泄の働きが低下してしまい、脳に老廃物が溜まっていきます。
この脳脊髄液が健全に循環するためには、頭蓋骨が膨らんだり・縮んだりする必要があります。
健康な人では、それが1分間に6回から12回くらいのサイクルで起こっています。
この周期的な動きのリズムのことをCRI(クラニアル・リズミック・インパルス)と呼んでいます。
しばしば、この動きのことを呼吸の動きと比べられます。
呼吸と同じように健全な状態であれば、大きくゆったりとしたリズムで動きます。
しかし、調子が悪い時は、小さく小刻みな動きになってしまいます。
脳脊髄液まとめ
さて、ここまでで脳脊髄液のことを理解して頂けましたでしょうか?
記憶に留めて頂きたいポイントをまとめてみますね。
・脳脊髄液の働き①:脳と脊髄を守るクッションの役割。
・脳脊髄液の働き②:老廃物の排泄の役割。
・脳脊髄液は1分間に6回から12回くらいのサイクルで循環している。
お手当療法の実技でも、脳脊髄液が循環するリズムのことを取り扱いますのでぜひ覚えておいて下さいね!

吉原博紀(よしはらひろき)
【生年月日】1983年5月15日
【出身】広島県尾道市
【趣味】写真、旅行、フットサル、ヨガ、買い物、美味しいもの食べるなど
2004年 メディカルカイロプラクティックカレッジ卒業(全日制2年間)
2005年 MCC横浜認定メディカルカイロプラクター授与
・田園都市整形外科クリニック カイロプラクティック担当
・センター南カイロプラクティック勤務
2013年11月 「青葉台リーフ整体院」開院
普段は横浜の青葉台にて整体院を営んでいます。
頭蓋領域のオステオパシーを習得し、発達障害や自律神経系にも対応できるアメリカ発祥の機能神経学も継続して学んでいます。
現在は、うつや自律神経の不調でお悩みの方、乳幼児・子どものトラブル(発達障害、起立性調節障害など)の方を多く診させていただいております。