クラニオセイクラルセラピーの歴史 【アプレジャー編】

歴史

今回は前回お話したクラニオセクラルセラピーの歴史についての続編です。

前回はクラニオセクラルセラピーの礎となった頭蓋領域のオステオパシーという分野を開発したサザーランド博士についてお話をさせて頂きました。

今回は独自にクラニオセクラルセラピーを体系づけ、家庭療法として一般の方にも広めたオステオパシードクターであるジョン・E・アプレジャー博士について詳しくお話していきたいと思います。

 

そもそもアメリカでオステオパシードクターになる為には、医学部に6年間通いメディカルドクター(医師)になった上で、オステオパシーの専門的な教育を3年間受ける必要があります。
そして、頭蓋骨を扱う手技は卒後教育として教えられていました。

このような経緯もあり、オステパシーにはテクニックがたくさんありますが、
その中でも頭蓋骨を扱う手技はオステパシーの専門家でも敷居が高いというイメージを持たれている方が多くいます。

アプレジャー博士の研究

アプレジャー博士はオステオパシードクターになった後、
頚部の手術助手をしていた際、硬膜という脊髄を覆う膜の固定をしようとしたところ、その硬膜が律動的に動いて固定がうまくいかないということがありました。

その現象に興味を抱いたアプレジャー博士はオステオパシードクターの団体であるクラニアル・アカデミーで頭蓋領域のオステオパシーを学び、第一次呼吸の探求を始めました。

その後、ミシガン州立大学生体力学部にて教授職に就き、8年間ほど研究を行いました。

そこで、頭蓋骨と硬膜の研究を行い、頭蓋骨は融合せずに頭蓋骨よ仙骨の硬膜システムにより、微細な拍動性のリズミックに動いている事を証明しました。
そして、生きたサルの尾てい骨を押さえるとその頭蓋骨の動きが止められることも発見しました。

長年の研究を元に、この身体のシステムを「クレニオ(頭蓋)・セイクラル(仙骨)・システム」と呼びました。
そして、その療法を「クレニオセイクラルセラピー(頭蓋仙骨治療療法)」と名付けたのでした。

10ステッププロトコル

複雑な頭蓋領域のオステオパシーを簡略化し、オステパシーの専門的な知識がなくても誰にでもできるように、頭蓋仙骨療法を安全かつ効果的に行えるように考えられた10ステップから成る治療手順です。

この10段階のステップを「10ステッププロトコル」と呼んでいます。

《10ステッププロトコル》
プロトコル第1段階:静止点の誘導
プロトコル第2段階:筋膜の横方向の制限のリリース
プロトコル第3段階:前頭骨リフト
プロトコル第4段階:頭頂骨のリフト
プロトコル第5段階:蝶形後頭結合の圧迫と減圧
プロトコル第6段階:側頭骨の手技
プロトコル第7段階:側頭骨の減圧
プロトコル第8段階:顎関節の加圧と減圧
プロトコル第9段階:硬膜管の評価
プロトコル第10段階:CV4による静止点の誘導

クレニオというと頭蓋骨ばかり注目されがちです。

アプレジャー博士が考案したクレニオセイクラルセラピーはあくまでも頭蓋骨や仙骨を使って脳と中枢神経を包む「硬膜の緊張」を開放することを目的としています。

そうすることで、脳で生産される脳脊髄液の循環を改善し脳と中枢神経の活性化することで、人間が持つ自然治癒力を引き出し高めていく療法です。

クラニオセクラルセラピーは世界55各国に普及

もともとアメリカのオステオパシーの業界はとても閉鎖的で秘密主義でした。
ところが、アプレージャー博士は例外で誰にでもできるようにクラニオセイクラルセラピーを開発し、たくさんの人々が健康促進するべく一家に一人出来る人がいるように門戸を広げたのでした。

しかし、オステパシーの業界内ではアプレジャー博士の活動を批判する人たちもいたようなのですが、現在では日本を含め世界中に広まり、世界55ヵ国でクラニオセイクラルセラピーが受けれるようになり、そのおかげでたくさんの人々の健康に貢献することができています。

まずは歴史の知識は頭の片隅に。

今から100年以上前に、サザーランドの博士が頭蓋骨を眺めながら、側頭骨と頭頂骨の繋ぎ目(鱗状縫合)が魚の鰓(エラ)のような形をしているのではと閃きを抱いたのが頭蓋領域のオステオパシーの始まりでした。

その後、独自にクラニオセクラルセラピーを体系づけ、家庭療法として一般の方にも広めたアプレジャー博士の功績についてお話させて頂きました。

当会のお手当て療法はクラニオセクラルセラピーの理論を礎にし独自に発展しています。

お手当て療法の背景になった歴史の知識がなくてもお手当ては実践出来ます。

しかし、歴史的な背景の知識があるのとないのとでは、お手当てを深めていく上で差が出てきますので、今回二回に分けてお伝えさせて頂きました。

今、全部覚えようとしなくても、

まずはざっと
「ふ~ん、こんな歴史があるんだなぁ。」

程度に、頭の片隅にでも置いてて下さいね。

お手当ての講座を受けた後にまたこちらの記事を読み返して頂くと、講座で教わったことがより一層深まってくると思います。

*参考文献
もうひとりのあなた ジョン・E・アプレジャー
頭蓋仙骨治療 ジョン・E・アプレジャー
硬膜を越えて ジョン・E・アプレジャー
クラニオセイクラル・オステオパシー トルステン・リーム

このクラニオセイクラルセラピーの歴史 ~後編~を書いた人


吉原博紀(よしはらひろき)
【生年月日】1983年5月15日
【出身】広島県尾道市
【趣味】写真、旅行、フットサル、ヨガ、買い物、美味しいもの食べるなど
2004年 メディカルカイロプラクティックカレッジ卒業(全日制2年間)
2005年 MCC横浜認定メディカルカイロプラクター授与
・田園都市整形外科クリニック カイロプラクティック担当
・センター南カイロプラクティック勤務
2013年11月 「青葉台リーフ整体院」開院
普段は横浜の青葉台にて整体院を営んでいます。
頭蓋領域のオステオパシーを習得し、発達障害や自律神経系にも対応できるアメリカ発祥の機能神経学も継続して学んでいます。
現在は、うつや自律神経の不調でお悩みの方、乳幼児・子どものトラブル(発達障害、起立性調節障害など)の方を多く診させていただいております。