初心者でも大丈夫!頭蓋骨の解剖学シリーズ
今回はお手当て療法を学ぶ上でとても重要になってくる蝶形骨と後頭骨の関係について解説していきます。
蝶形骨と後頭骨の関係は頭蓋領域のオステオパシーで発見され、クラニオセイクラルセラピーにも受け継がれています。
当会のお手当て療法はクラニオセイクラルセラピーを基に独自に発展しています。
頭蓋領域のオステオパシーでは蝶形骨と後頭骨で生じる捻じれのパターンから歪みの名前を付けられています。
また、頭蓋骨のリズム(クラニアルリズミックインパルス)を形成する上でも重要な関係になっています。
そんな蝶形骨と後頭骨の関係や働きについて解説していきます。
少し聞きなれない言葉が多く出てきて難しいと感じてしまうかもしれませんが、出来る限り分かりやすくお伝えしていきます。
もし1回読んで理解できなくても繰り返し読むことで学びが深まってきます。
解剖学は繰り返し学ぶことで身についてきますのでぜひ一緒に学んでいきましょう。
オステオパシー・ドクターから直接頭蓋骨について学んでいるため、記事の信頼性に繋がるかと思います。
蝶形骨と後頭骨のつながり
蝶形骨と後頭骨の関節のつながりを蝶形後頭底結合(ちょうけいこうとうていけつごう)と言います。
この結合は頭蓋骨の関節の中では珍しく軟骨結合(なんこつけつごう)という特殊な形でつながっています。
そのため、本当にわずかですが可動性があるのです。
蝶形骨は後頭骨以外にも、側頭骨(そくとうこつ)、頭頂骨(とうちょうこつ)、前頭骨(ぜんとうこつ)、篩骨(しこつ)、口蓋骨(こうがいこつ)、鋤骨(じょこつ)、頬骨(きょうこつ)と多くの骨と関節をなしており、他の骨との接触が26にも及びます。
このことからも、頭蓋領域のオステオパシーの創始者であるサザーランド博士は蝶形骨を鍵となる骨として最も重要視していました。
蝶形後頭底結合(ちょうけいこうとうていけつごう)の働き
蝶形後頭底結合がどのように頭蓋骨に働くかを解説します。
頭蓋骨のリズムの起点
頭蓋骨は呼吸とは別のリズムで動いていることが分かっています。
それをクラニオセイクラルセラピーではCRI(クラニアルリズミックインパルス)と言います。
CRIは脳脊髄液の循環に伴って一定のリズム(1分間に8~12回)で動いています。
わずかに頭蓋骨の膨張と収縮が起こるような動きで、実際に頭蓋骨を触ってみると、軽くフワッと動くような感触を感じ取れます。
頭蓋骨の膨張と収縮の動きは頭蓋骨全体で起きますが、蝶形後頭底結合のわずかな可動性が起点となり、頭蓋骨全体にそして身体全体に波のように波及していきます。
だから、頭蓋骨のリズムは頭蓋骨だけでなく足や骨盤や手などでもわずかな膨張と収縮の動きが感知できるのです。
蝶形後頭底結合の重要性
蝶形後頭底結合は頭蓋底(とうがいてい)といって脳を乗せる土台となっている部分を形成しています。
この部分の歪みや捻じれは脳の発達、脳硬膜の緊張、脳の静脈系の血流、脳神経の活動、自律神経やホルモンバランスに大きく関わってきます。
蝶形骨にトルコ鞍という窪みがあったことを憶えていますか?
トルコ鞍には成長や人の生理的な活動のために必要なホルモン分泌をコントロールする下垂体が納まっています。
蝶形後頭底結合が正常なリズムを形成し円滑に動いていれば下垂体は問題なく働くことができます。
ですが、そうではない場合にホルモンバランスにも影響が出てしまうことが分かっています。
頭蓋骨の歪みのパターン(ストレインパターン)の形成
サザーランド博士は研究しているうちにある頭蓋骨の歪みのパターンがあることに気づきました。
頭蓋骨の歪みは蝶形後頭底結合が起点になっていて蝶形後頭底結合の歪み方によって歪みのパターン(ストレインパターン)の名前を付けました。
ストレインパターンは以下の通りです。
伸展(収縮)
捻転
側屈回転
上下の垂直ストレイン
左右の側方ストレイン
圧縮
ストレインパターンに関しては今後詳しく解説していきますが、動画内で簡単にお伝えしていますので見て頂けたらと思います。
このストレインパターンは誰しもが抱えており、1つではなく複数合わさっている場合もあります。
例えば捻転や側屈回転が複合しているなど。
ですが、勘違いして欲しくないのはストレインパターンがあるからと言って必ずしも異常と言えるわけではないのです。
その中で機能は適切に働いてくれています。
よく自分の子どもの頭の形が悪くて、頭の形ばかりに固執してしまう親御さんがいます。
ですが、たとえ頭の形が悪くてもその中で正常に機能していれば問題ないわけです。
完璧に綺麗で丸い頭蓋骨なんてなく、誰しもがストレインパターンを抱えています。
それが行き過ぎたときに不調が生じてしまうのです。
逆に不調もないのに頭の形が悪いからと無理に頭を矯正して調子が悪くなってしまうという事故も良く起きています。
それは頭蓋骨への理解が少ない小顔矯正や美容整体などでよく起こってしまっていることなので注意が必要ですね。
蝶形後頭底結合まとめ
今回のポイントをまとめます。
・蝶形後頭底結合の歪みは脳の発達、脳神経の活動、自律神経やホルモンバランス、脳の血流に関わる
・蝶形後頭底結合の歪みによってストレインパターンがある
・誰しもがストレインパターンをいくつか抱えている
この蝶形骨と後頭骨 蝶形後頭底結合(ちょうけいこうとうていけつごう)について【頭蓋骨の解剖学】を書いた人

蝶形後頭底結合がお手当て療法を行う際にとても重要なポイントであり、考えであることをぜひ憶えておいて頂けたらと思います。丸井恒介(まるいこうすけ)
まごころお手当て会代表
【生年月日】1985年2月3日
【出身】東京都調布市
【趣味】バドミントン、パソコン、筋トレ
【家族構成】妻と一児の父
【経歴】
2013年 日本リハビリテーション専門学校卒業(夜間4年制)理学療法士免許取得
2013年 医療法人社団河井病院勤務
2016年 「府中オステオパシーまるちゃん整体院」開院
理学療法士免許取得後、病院勤務にて重篤な方(ヘルニア・狭窄症などの脊椎疾患、五十肩、変形性関節症などの運動器疾患、脳梗塞後の麻痺、重度の呼吸器疾患や糖尿病、人工関節術後の方、交通事故の後遺症)を主に担当してきました。
その経験を生かし、現在は東京の府中にある整体院で病院や整骨院に行っても改善しない痛みやしびれにお悩みの方、更年期障害や難病の方などへカウンセリングと施術を行っています。
サザーランド博士から脈々と受け継がれ、発展した療法をオステオパシー医師のドクター・ジェラスからアメリカまで直接指導を受けに行っています。
また、本来オステオパシー医師ではないと受けれない頭蓋領域の内容をドクター・クロウから学んでいます。