初心者でも大丈夫!頭蓋骨の解剖学シリーズ
頭蓋骨の解剖学。今回は側頭骨(そくとうこつ)について解説していきます。
当会のお手当て療法は頭蓋領域のオステオパシー、クラニオセイクラルセラピーを基に独自に発展しています。
頭蓋骨の解剖学を学ぶことはお手当てをする上でとても大切になってきます。
側頭骨は頭蓋領域のオステオパシーの創始者であるサザーランド博士が蝶形骨と側頭骨の縫合を魚のエラのように感じて呼吸しているのではないかと直感した部分です。
側頭骨は頭の中でも「問題の根源」とも呼ばれているほど重要な骨です。
めまいや耳鳴り、頭痛、顎関節症、中耳炎など多くの問題に関連しています。
重要な骨である分、いくつかの骨が合わさって出来ているので形状も複雑で多くの解剖学的な名称があります。
全てを憶えるのは困難ですが、代表的なものを抜粋してお伝えしてきますのでご安心ください。
今回はそんな側頭骨の解剖学的な構造についてできるだけ分かりやすく解説していきます。
オステオパシー・ドクターから直接頭蓋骨について学んでいるため、記事の信頼性に繋がるかと思います。
側頭骨の位置
側頭骨は頭の横にある骨で左右2対あります。
ちょうど茶色の骨になります。
側頭骨は蝶形骨(ちょうけいこつ)、頭頂骨(とうちょうこつ)、後頭骨(こうとうこつ)、頬骨(きょうこつ)、それから下顎骨(かがくこつ)と関節しています。
側頭骨は問題を起こしやすい部位と言われていますが、その所以は側頭骨と連結している他の骨からの影響を受けやすいためだと言われています。
蝶鱗縫合(ちょうりんほうごう)と鱗状縫合(りんじょうほうごう)
蝶形骨と側頭骨の縫合、それから頭頂骨と側頭骨の縫合部位をそれぞれ蝶鱗縫合、鱗状縫合と言います。
この縫合部位を見て、サザーランド博士は魚のエラを連想しました。
頭蓋骨が呼吸しているのではないかと着想を得た部位になります。
側頭骨の部位の名前
側頭骨は少々複雑な形をしていますが、代表的な解剖学的部位を紹介します。
乳様突起(にゅうようとっき)
耳の後ろ側にある突起で、簡単に触ることが出来ます。
形状や形は人によって様々で尖っている人もいれば、丸みを帯びている方もいます。
形状が乳房の形に似ていることから乳様突起という名前がつけられています。
乳様突起には顎二腹筋(がくにふくきん)、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)、頭板状筋(とうばんじょうきん)、頭最長筋(とうさいちょうきん)という首の動きに関わる重要な筋肉の付着部となっています。
外耳孔(がいじこう)
耳の穴の入り口になります。
外耳道ができ、鼓膜まで続くトンネルを形成しています。
茎状突起(けいじょうとっき)
茎状突起は側頭骨の細くとがった突起で耳の真下にあります。
舌や咽頭(いんとう)に関係したいくつかの筋や靭帯の付着部となっています。
茎突下顎靱帯(けいじょうかがくじんたい)
茎突舌筋(けいとつぜっきん)
茎突舌骨筋(けいとつぜっこつきん)
茎突咽頭筋(けいとついんとうきん)
下顎窩(かがくか)
顎関節を形成するための窪みです。
ここに下顎骨の下顎頭が関節します。
顎関節は関節円板(かんせつえんばん)が介在しており、関節周りを靭帯によって補強されています。
頬骨突起(きょうこつとっき)
頬骨と関節をなしている部分です。
頬骨と頬骨突起が連結して形成された部分を頬骨弓(きょうこつきゅう)といい、ほぼほぼ水平位にあります。
頬骨弓(きょうこつきゅう)からは咀嚼筋の一つである咬筋(こうきん)が始まり、下顎骨の咬筋粗面(こうきんそめん)に付着しています。
鱗部(りんぶ)
側頭骨の鱗状の部分になります。
蝶形骨との縫合部位は蝶鱗縫合(ちょうりんほうごう)です。
頭頂骨との縫合部位は鱗状縫合(りんじょうほうごう)になります。
頭頂切痕(とうちょうせっこん)
側頭骨と頭頂骨の縫合間に深い切った痕(切痕)のようなものがあります。
ここの頭頂骨の乳頭角が入り込みます。
側頭骨の発生学
側頭骨は複雑な形をしており、いくつかの骨が合わさって出来ています。
軟骨性骨化(なんこつせいこっか)により錐体部(すいたいぶ)と乳突部(にゅうとつぶ)が形成されます。
乳様突起(にゅうようとっき)は満1歳まで発達しません。
側頭骨全体がひとつの側頭骨になるまで、骨の間にずれやゆがみが生じやすく、骨内病変(こつないびょうへん)が起こることがあります。
側頭骨まとめ
いかがでしたか?
側頭骨は大分複雑です。
簡単に今回記憶にとどめておいて欲しいポイントをまとめます。
・側頭骨は他の骨からの影響を多く受けやすい。
・側頭骨は下顎骨と関節し、顎関節を形成している。
・側頭骨は外耳孔があり耳の穴を形成している。
・側頭骨はいくつかの骨が合わさってできているため、ひとつの側頭骨になるまで骨の間にずれやゆがみが生じやすい。
この辺りを抑えておいていただければと思います。
側頭骨はこれ以外にも多くの解剖学的な部位や名称があります。
ですが、それらを必死に覚えたとしても名前だけを憶えただけで決して良い知識とは言えないでしょう。
解剖学は、そこに関わる機能(はたらき)と結びつけることで初めて知識として役に立っていきます。
次回は側頭骨の機能的なことについて解説していきます。
この側頭骨(そくとうこつ) 【頭蓋骨の解剖学】を書いた人

蝶形後頭底結合がお手当て療法を行う際にとても重要なポイントであり、考えであることをぜひ憶えておいて頂けたらと思います。丸井恒介(まるいこうすけ)
まごころお手当て会代表
【生年月日】1985年2月3日
【出身】東京都調布市
【趣味】バドミントン、パソコン、筋トレ
【家族構成】妻と一児の父
【経歴】
2013年 日本リハビリテーション専門学校卒業(夜間4年制)理学療法士免許取得
2013年 医療法人社団河井病院勤務
2016年 「府中オステオパシーまるちゃん整体院」開院
理学療法士免許取得後、病院勤務にて重篤な方(ヘルニア・狭窄症などの脊椎疾患、五十肩、変形性関節症などの運動器疾患、脳梗塞後の麻痺、重度の呼吸器疾患や糖尿病、人工関節術後の方、交通事故の後遺症)を主に担当してきました。
その経験を生かし、現在は東京の府中にある整体院で病院や整骨院に行っても改善しない痛みやしびれにお悩みの方、更年期障害や難病の方などへカウンセリングと施術を行っています。
サザーランド博士から脈々と受け継がれ、発展した療法をオステオパシー医師のドクター・ジェラスからアメリカまで直接指導を受けに行っています。
また、本来オステオパシー医師ではないと受けれない頭蓋領域の内容をドクター・クロウから学んでいます。