背骨の機能【初心者でも大丈夫!解剖学シリーズ】

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背骨の機能 【背骨の3つの役割】

今回はその背骨の機能(はたらき)についてお話していきますね。

背骨の3つの機能

①体を支える(支持機能)

②体を動かす(運動機能)

③神経の保護(保護機能)

この3つが背骨の大切な役割になってきます。

この大切な機能を一つ一つ解説していきますね。

本記事を書いている私は整体歴15年で、整形外科クリニックでも8年間の臨床経験があります。
質の高い研修会や学会に年間100時間~200時間参加し、知識や技術を学んでおり、解剖学知識については日々研鑽していますので、記事の信頼性に繋がるかと思います。

①体を支える(支持機能)

ますは、体を支える「支持機能」から。

●生理的湾曲

頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、計24個の椎骨が繋がって背骨を形成していています。

それを横から見ると頚椎は前方に凸のカーブ、胸椎は後方に凸のカーブ、腰椎は前方に凸のカーブをしていてアルファベットの「S」のようにゆるやかなカーブを描いています。

これを生理的弯曲(せいりてきわんきょく)と呼ばれているという事を前回の背骨の構造【簡単な解剖学講座】でお伝えしました。

では、生理的湾曲は何のためにあるのでしょうか・・?

このカーブのことをもう少し掘り下げて考えてみましょう!

運動学のバイブル的な存在である「カパンディ関節の生理学」によると…
「3つの可動性のある弯曲をもつ背骨では、抵抗力はまっすぐな背骨の10倍となる」と言われています。

もしも背骨がまっすぐだとすると、カーブのある背骨よりも10倍も負担がかかってしまうということです。

(出典:カラー版カパンジー機能解剖学 全3巻原著第6版)

簡単に言うと背骨はバネのようになっていて、歩いたり、ジャンプをした時に足から背骨に伝わる衝撃も和らげるクッションの役割をしています。

車でいうところのサスペンションのような働きがあります。

もしも、車にサスペンションが無いととても乗り心地が悪くなってしまいますね。


●背骨の生理的湾曲ができるまで

この3つのカーブは、生まれたての赤ちゃんでは1つのカーブしかありません。アルファベットの「C」の字のようになっているんですね。

さらに6~7か月頃お座りをし始めると、腰にもカーブができ始めます。ハイハイやひとり歩きなどのを経て、だんだんとS字カーブができあがっていきます。

ですので、お子さんの今後の将来の為にも背骨の生理的湾曲を形成するプロセスでもある、ハイハイやひとり歩きする時期はとても大切になってきます。

皆さんが普段何気なく座ったり立ったり歩いたりすることが出来るのは、背骨の支持機能により背骨が体全体を支えてくれているからなんです。

②体を動かす「運動機能」

背骨というのは体の軸でありながら、色々な方向に動くことができます。

だからこそ、24個の背骨は頸椎、胸椎、腰椎と微妙に形を変えています。

特に注目して頂きたいのは、背骨と背骨のつなぎ目である関節です。


まずは頸椎。

これは前に向かって斜め45度、上方向に関節面が有ります。
この関節の角度は色々な方向に動かせる角度なんです。

ですので、上を向いたり、下を向いたり、後ろに振り返ったりと頭を自由に動かすことができるのです。


次に胸椎。


胸椎の関節の角度は横に近くなるので、身体を捻じったり(回旋)、横に傾けたり(側屈)するのが得意な構造になります。
ただし、胸椎は肋骨と連結しているので、頸椎と腰椎と比べると動きはだいぶ少なくなります。


最後に腰椎。


腰椎の関節面は縦に近いので、前に曲げたり、後ろに反ったりするのは得意ですが、回旋という捻じる動きでは関節同士がぶつかってしまいますので不得意な構造です。

因みに、よくゴルフなどの回旋系のスポーツでは「もっと腰を回して!」と声かけをしたりしていますが、実際には胸椎や股関節が回旋運動では主役になっています。

腰椎を捻じってしまうと、腰を痛めますのでダメですよ。

トリノオリンピックの金メダリストである荒川静香さんがおこなっていたイナバウワーを覚えていらっしゃる方も多いと思います。

あのような柔軟性のある動きでおこなう華麗な技は背骨が1本の硬い骨ではできません!

背骨の運動機能によって一つ一つの背骨のブロックが少しずつ動くからできる技なのです。

③神経の保護(保護機能)

最後の3つ目の「神経を守る」という役割です。

一つ一つの背骨に空いた穴が積み重なり脊柱管(せきちゅうかん)と呼ばれる長いトンネルをつくり、その中に脊髄という神経の幹が入っています。

脊髄というのは、脳から出てきた神経の太い束です。

ここが傷つくことを「脊髄損傷」と言い、ニュースなどで時折り耳にする言葉になります。

高いところから落ちたり、交通事故やスポーツでの大ケガをしてしまうと脊髄が傷ついてしまいます。

下半身が麻痺して歩けなくなったり、首から下が麻痺すると寝たきりなんていうことになってしまいます。

そこで、ちょっとやそっとの事では傷つかないようにするため、背骨によってとても大切な脊髄を守っているのです。

背骨の機能のまとめ

さて、ここまでお送りしてきた背骨の機能ですがいかがでしたか?

背骨のはたらきをなんとなくお分かり頂けたでしょうか・・?

今回、記憶にとどめておいて欲しいポイントをまとめてみますね。

・体を支える「支持機能」
・3つのカーブによる生理的湾曲があり、クッションの役割
・仮に背骨がまっすぐだとカーブのある背骨よりも10倍も負担がかかる。
・体を動かす「運動機能」
・大切な脊髄を守る「保護機能」

解剖学の知識とその構造に関わる機能を結びつけることによって、初めて実践で活用できる知識となり、役に立っていきます。

ただ漠然と「背骨」ではなく、こういうちょっと細かい部分も理解して頂き、一層背骨への認識が高まって頂ければと思い、前回と今回とで2回に分けて背骨の解剖学とその機能を解説してみました。


吉原博紀(よしはらひろき)
【生年月日】1983年5月15日
【出身】広島県尾道市
【趣味】写真、旅行、フットサル、ヨガ、買い物、美味しいもの食べるなど
2004年 メディカルカイロプラクティックカレッジ卒業(全日制2年間)
2005年 MCC横浜認定メディカルカイロプラクター授与
・田園都市整形外科クリニック カイロプラクティック担当
・センター南カイロプラクティック勤務
2013年11月 「青葉台リーフ整体院」開院
普段は横浜の青葉台にて整体院を営んでいます。
頭蓋領域のオステオパシーを習得し、発達障害や自律神経系にも対応できるアメリカ発祥の機能神経学も継続して学んでいます。
現在は、うつや自律神経の不調でお悩みの方、乳幼児・子どものトラブル(発達障害、起立性調節障害など)の方を多く診させていただいております。