頭頂骨の関連性【初心者でも大丈夫!解剖学シリーズ】

解剖

初心者でも大丈夫!頭蓋骨の解剖学シリーズ

今回は頭頂骨の役割や関連性について解説していきます。

 

頭頂骨は頭のてっぺんにある骨で左右2対あります。
脳を守ったり、脳内の体液循環に重要な関連性があります。

 

頭頂骨は誰でも簡単に触れる骨ですが、思っている以上に頭蓋骨や脳にとって重要な関連性があります。

そんな頭頂骨の関連性について知ってきただき、脳の働きと大きく関係しているのだなと少しでも理解が深まって頂ければ幸いです。

 

本記事を書いている私はオステオパシー歴8年、理学療法士(国家資格)を保有し総合病院で3年間勤務経験があります。
オステオパシー・ドクターから直接頭蓋骨について学んでいるため、記事の信頼性に繋がるかと思います。

頭頂骨は外傷の影響を受けやすい


頭頂骨は外傷の影響を大きく受けやすい骨だと言われています。
交通事故や直接頭部への衝撃はもちろんのこと、尻もちや転倒によっても間接的に影響を受けることも多いです。
(アメリカではケンカで普通に顔を殴られることが多いため、頭蓋骨に歪みが発生しやすいなんて話を聞いたこともあります(;’∀’))

 

頭頂骨の4つの角を憶えていますか?

頭頂骨の4つの角はそれぞれ前頭骨、蝶形骨、側頭骨、後頭骨とつながっています。
なので、頭頂骨への衝撃はその他の頭蓋骨にも多くの影響が出てしまいます。

 

外傷のケガの痛みは治まっても、のちのち頭痛などの頭の循環障害を表すような症状が出始めてしまう傾向が多いようです。

 

さらに頭頂骨と前頭骨のつなぎ目である冠状縫合が固くなってしまうと、その下にある蝶形後頭底の動きも制限されてしまいます。

それが突発性の癇癪(かんしゃく)の原因となっていることもあると言われています。

 

 

動脈や静脈との関係


頭頂骨は脳の動脈や静脈との関係が深いと言われています。

 

中硬膜動脈という動脈は頭頂鱗の下を走行しています。
また、静脈は矢状静脈洞、S状静脈洞、横静脈洞と脳内の主要な静脈と関係しています。
とくに矢状静脈洞は矢状縫合の走行に沿って走っています。

 

頭頂骨の問題は動脈性高血圧やうっ血性の頭痛を引き起こすと言われています。
また、頭蓋骨がゆがみ、頭蓋骨内の硬膜組織のバランスが崩れると、静脈を含む血流が滞りやすくなってしまいます。

 

脳内の血液循環が滞ってしまうと頭痛やめまいをはじめとして様々な不調の原因となります。

 

脳脊髄液との関係


前回のクモ膜顆粒小窩(くもまっかりゅうしょうか)というものを憶えていますか?
大量の脳脊髄液は矢状静脈洞周囲のクモ膜下顆粒を通って脳から排出されます。

 

矢状静脈洞は左右の頭頂骨のつなぎ目である矢状縫合沿いにある静脈です。
頭頂骨がなんらかの要因でゆがんでしまうと、矢状静脈洞沿いの硬膜組織も捻じれ、クモ膜下顆粒から脳脊髄液の排出が滞るようになってしまいます。

 

ここで脳脊髄液の排出が停滞してしまうと、溜まってしまった脳脊髄液は脳の皮質を圧迫してしまいます。

癇癪はこのように脳脊髄液が脳内に貯まってしまって起こると言われています。
また、クモ膜下顆粒が何かしらの問題を抱えていることを意味しています。

 

脳内の脳脊髄液が多いほど、脳を圧迫することになっているため、脳組織が萎縮してしまっている傾向もあります。

 

脳脊髄液は脳の代謝にも関わっているため、脳脊髄液がうっ滞してしまうと脳内の老廃物が蓄積して認知症にもつながると言われています。

 

脳脊髄液について詳しくは下記の記事を参考にしてください。

脳脊髄液の2つの働き【初心者でも大丈夫!解剖学シリーズ】
簡単な解剖学講座 【脳脊髄液の2つの働き】 今回は、お手当療法の実践でも関係してくる脳脊髄液のことについてお話ししてい...

 

頭頂骨の関連性まとめ

ポイントをまとめます。

・頭頂骨は外傷による影響を受けやすい
・動脈や静脈の循環状態に関わる
・脳脊髄液の循環にも影響する

動脈や静脈、脳脊髄液の循環状態は頭蓋骨全体の問題が関わってきますが、解剖学的に見て頭頂骨の影響がとても大きいことを知って頂ければと思います。
脳内の体液循環の不良は、体の不調だけでなく認知症などの脳の状態にも関わってきます。
このことを知っているだけでも、お手当てで頭を施術する意味というのが深まってくるのではないでしょうか。

この頭頂骨(とうちょうこつ) 【頭蓋骨の解剖学】を書いた人


丸井恒介(まるいこうすけ)
まごころお手当て会代表
【生年月日】1985年2月3日
【出身】東京都調布市
【趣味】バドミントン、パソコン、筋トレ
【家族構成】妻と一児の父
【経歴】
2013年 日本リハビリテーション専門学校卒業(夜間4年制)理学療法士免許取得
2013年 医療法人社団河井病院勤務
2016年 「府中オステオパシーまるちゃん整体院」開院
理学療法士免許取得後、病院勤務にて重篤な方(ヘルニア・狭窄症などの脊椎疾患、五十肩、変形性関節症などの運動器疾患、脳梗塞後の麻痺、重度の呼吸器疾患や糖尿病、人工関節術後の方、交通事故の後遺症)を主に担当してきました。
その経験を生かし、現在は東京の府中にある整体院で病院や整骨院に行っても改善しない痛みやしびれにお悩みの方、更年期障害や難病の方などへカウンセリングと施術を行っています。
サザーランド博士から脈々と受け継がれ、発展した療法をオステオパシー医師のドクター・ジェラスからアメリカまで直接指導を受けに行っています。
また、本来オステオパシー医師ではないと受けれない頭蓋領域の内容をドクター・クロウから学んでいます。