前頭骨の解剖学【初心者でも大丈夫!解剖学シリーズ】

解剖

初心者でも大丈夫!頭蓋骨の解剖学シリーズ

今回は前頭骨(ぜんとうこつ)について解説していきます。

前頭骨はちょうど額(ひたい)にあたる部分になります。

前頭骨は眼窩(がんか)という目の窪みの上側を形成していたり、鼻骨や上顎骨、頬骨との連結もあります。
もちろん頭蓋骨の中央に位置する蝶形骨との連結もあります。

前頭骨は目や鼻との関係が深く、また頭頂骨と同様に外傷の影響を受けやすい部分でもあります。

発生学的に見た時に前頭骨は6歳くらいまでは2つの骨に分かれている骨で、脳の前側を守っている骨でもあります。

額という大きな部分を担っている骨でとても重要になってきますので、解剖学的な位置関係や名称などを知っておいていただけたらと思います。

本記事を書いている私はオステオパシー歴8年、理学療法士(国家資格)を保有し総合病院で3年間勤務経験があります。
オステオパシー・ドクターから直接頭蓋骨について学んでいるため、記事の信頼性に繋がるかと思います。

前頭骨はこんな骨


前頭骨はちょうど額の部分にあり、黄色の部分の骨になります。


前頭骨だけ分解するとこのようになっています。
前頭骨は下の図のように大まかに3つに分けられます。

前頭鱗(ぜんとうりん)

ちょうど額のところになります。

鼻部(びぶ)

鼻骨や上顎骨とのつながりがあり、鼻を構成する一部分です。

眼窩部(がんかぶ)

目の窪みの上側を形成しています。

前頭骨の主な名称

前頭骨にも細かな解剖学的な名称がつけられていますが、代表的で分かりやすいものを紹介します。

眉間(みけん)

眉間と言えば皆さんご存知かと思います。眉と眉の間にある部分になります。

眉弓(びきゅう)

眉毛が生えてくる辺りの部分で眉弓(びきゅう)と言います。
人によって形が異なりますよね。

眼窩上縁(がんかじょうえん)

眼球が入る窪みの部分で、前頭骨は上側を形成しています。

頬骨突起(きょうこつとっき)

頬にある骨である頬骨(きょうこつ)とつながっている部分です。

篩骨切痕(しこつせっこん)

篩骨(しこつ)という鼻腔(びくう)を形成する骨が入り込むためにある窪みです。
篩骨切痕の前側4分の1は涙骨(るいこつ)とも関節しています。

上矢状洞溝(じょうしじょうどうこう)

上矢状静脈洞がある溝になります。

大脳面(だいのうめん)

大脳の特に前頭葉が収まっている部分になります。

前頭骨は二つに分かれていた


前頭骨は上の図のように発生学的にはもともと二つの骨に分かれていました。

この分かれ目を前頭縫合(ぜんとうほうごう)と言い、6歳以降になると完全に癒合してきます。
全人口の90%は6歳以降に前頭縫合が合わさってきますが、10%ほどは一生を通じてそのままこの分かれ目が残存すると言われています。

この前頭縫合が完全に合わさっていてもわずかな柔軟性が残っています。
頭蓋骨が動く僅かなリズムに合わせて、前頭骨は二つの動きをすることが分かっています。

前頭骨の解剖学まとめ

ポイントをまとめます。

・前頭骨は額にある骨
・眼窩(がんか)の上側を形成している。
・鼻骨や篩骨、上顎骨とつながり鼻の一部を形成している。
・もともと2つの骨に分かれていた。人口の10%は分かれ目である前頭縫合が残存している。

前頭骨は解剖学的な位置関係からしても目や鼻を含め多くのことに影響してきます。
次回は前頭骨と周囲の骨との関連性や前頭骨の問題がどのような周りの働きに影響するのかについて解説していきます。

この前頭骨(ぜんとうこつ) 【頭蓋骨の解剖学】を書いた人


丸井恒介(まるいこうすけ)
まごころお手当て会代表
【生年月日】1985年2月3日
【出身】東京都調布市
【趣味】バドミントン、パソコン、筋トレ
【家族構成】妻と一児の父
【経歴】
2013年 日本リハビリテーション専門学校卒業(夜間4年制)理学療法士免許取得
2013年 医療法人社団河井病院勤務
2016年 「府中オステオパシーまるちゃん整体院」開院
理学療法士免許取得後、病院勤務にて重篤な方(ヘルニア・狭窄症などの脊椎疾患、五十肩、変形性関節症などの運動器疾患、脳梗塞後の麻痺、重度の呼吸器疾患や糖尿病、人工関節術後の方、交通事故の後遺症)を主に担当してきました。
その経験を生かし、現在は東京の府中にある整体院で病院や整骨院に行っても改善しない痛みやしびれにお悩みの方、更年期障害や難病の方などへカウンセリングと施術を行っています。
サザーランド博士から脈々と受け継がれ、発展した療法をオステオパシー医師のドクター・ジェラスからアメリカまで直接指導を受けに行っています。
また、本来オステオパシー医師ではないと受けれない頭蓋領域の内容をドクター・クロウから学んでいます。

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